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ベストセラー走り読み エンタメ

2012.01.23

報道現場の裏側からわかる、ニュースの「今」

担当:
西川由美子

 東日本大震災直後、聞き慣れない放射能の単位に戸惑い、Twitterで流されたデマに踊らされ、テレビや新聞からも正確な情報が得られないことに大きな不安を感じた。それ以降、心に芽生えた「ニュースは本当のことを伝えているのだろうか?」という気持ち。その気持ちに答えてくれたのが、椎名健次郎『ニュースに騙されるな「報道現場」本当の舞台裏』だ。

ニュースに騙されるな
 椎名健次郎氏は、テレビ局の政治部・記者クラブを経て、ネット企業のニュース担当を務めた、報道の現場を知り尽くした人物だ。本書では、椎名氏が現場で見てきたこと、感じたことを赤裸々に綴っている。
 例えば、記者クラブの記者同士で、取材メモを照らし合わせる「メモ合わせ」という行為があること。テレビ・新聞・通信社すべてが同じ取材内容になることで、デスクから取材漏れを指摘されることもない。そしてテレビ局では、ドラマティックな展開を求めるあまり、原稿を取材前から書き終え、その原稿に見合う映像だけを撮影するディレクターがいたこと。ネット企業はニュースを自社では手がけず、すべてをテレビや新聞、雑誌から提供してもらっており、その記事提供料の額まで本書では書かれていて、これには正直驚いた。

 椎名氏の見てきたニュースの現場は、私たちの想像を超えるものが多い。しかしその一方、「やっぱりそうだったんだ」と思わせる、妙に納得してしまう部分もある。心のどこかで「そんなことだろうと思った」という諦めを抱いている自分。それに気付かされた。
 報道を伝える現場の体制が変わることが重要だが、情報を入手する私たちがニュースに対する諦めを抱いてしまったら、それこそ近い将来、ニュースは消滅してしまうかもしれない。

『ニュースに騙されるな「報道現場」本当の舞台裏』椎名健次郎
700 円/宝島社新書

WRITER PROFILE

西川由美子

デジタル&家電系など、何でもござれのライター。映画は映画館に行って観るのがモットー。好きな映画を観て、お気に入りの音楽を聴きながら、おいしい酒と食事をいただく。そのために日々働いております。

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