2012年2月7日より、
DIMEの公式サイト「Digital DIME(デジタルダイム)」は以下のサイトに変わりました。
新しいサイトの名称は「@DIME(アットダイム)」
新しいサイトのURLは、http://dime.jp/ となります。
引き続きご愛顧を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

@DIME (アットダイム)はこちら
TOP > エンタメ > Mediaウォッチング > 2011年末のゲームはこれ! 宮本P直撃インタビュー

Mediaウォッチング エンタメ

2011.12.02

2011年末のゲームはこれ! 宮本P直撃インタビュー

担当:
久村竜二

 2011年末は、新型携帯ゲーム機の発売や世界的な大作も多くリリース予定で、例年以上にゲーム業界の話題も多い。
宮本茂氏そんな中、任天堂は、ニンテンドー3DSの『スーパーマリオ 3Dランド』と『マリオカート7』、Wiiの『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』など、人気シリーズの新作を次々と投入。そのプロデューサーである宮本茂氏に直撃インタビューした。

――『スーパーマリオ 3Dランド』は、『ニンテンドー3DS』で初めて発売された『スーパーマリオ』シリーズの新作ですね。
宮本茂氏(以下:宮本):26年前に『スーパーマリオブラザーズ』が発売されて、その当初はみんなに遊んでもらえました。たくさんの方に遊んでもらえて気付いたのは、「ワールド1-1」で挫折しているのに面白いと言ってもらえたこと。制作者側としては、「ワールド8-4」まで、いかに行ってもらうかに情熱をかけていたんですが、じつはゲームは、クリアできる人だけでなく「ワールド1-1」だけでも満足してもらえる人もいる。これがエンターテインメントとして、すごく大事なことだなと思いました。
 初めて『スーパーマリオ』が米国で大ヒットして1、2年ぐらいの頃、人気調査で『ミッキーマウス』を抜いたんです。でも、それは『マリオ』が旬だったから。『ミッキーマウス』は、その時にすでに45歳以上でした。大事なのは「『マリオ』が45歳の時に『ミッキーマウス』を抜いているか」だと生意気にも思ったんです。『ミッキーマウス』はアトラクションやアニメで積み上げて歴史を作ってきたわけですが、『マリオ』はどう育っていけばいいのか? その時から『スーパーマリオ』シリーズは、新しいゲーム機やハードの技術の進化をまっさきに捉えて作っていこうと思いました。


――『スーパーマリオ』シリーズが支持されている理由はどこだと考えていますか?
宮本:自分が考えて何かをしていることの答えが詰まっていて、それを体験できたり、予想通りの時や予測を大きく超えたいろいろな変化がある。それがインタラクティブな遊びである『スーパーマリオ』の魅力です。ゲームを遊んでいて、普通にできたことが連続するとミスをしてしまう。そうするといろいろ試しながら考えて遊ぼうとしますよね。一方でレンガを叩いてコインが出てくればそこを連続で叩くような、ついついやってしまう生理的な快感を感じて遊んでくれる人もいます。そういういろんな楽しみができることだと思います。


――3D立体視を採用した『スーパーマリオ 3Dランド』は、落ちて行く感覚のリアルさやゲームとしての面白さも広がっていますね。
宮本:『スーパーマリオ』シリーズは、売れているから会社の期待を背負って作っているのもひとつなんですけど、僕らにとっては技術の進化を捉えて作るものなんです。
 『ニンテンドウ64』で3Dポリゴンになってゲームを変えようという時に『スーパーマリオ64』を作りましたが、これはゲームファンに好評だったのと同時に世界中のゲーム開発者の評価もすごく高かった。ゲーム作りのレベルがドーンと上がって、この時のスタイルが割とそのあとの3Dゲームに手本として使われていきました。先端を引っ張っていく『スーパーマリオ』としては成功しましたが、一方で「ワールド1-1」で挫折しても面白いと言ってくれていた人たちは、だんだんと離れていった。それでファミコンの頃にみんなが楽しんでいた、誰もが遊べる『マリオ』を作るべきだとずっと考えていました。そんな考えから生まれた2つの『スーパーマリオ』があって、『Newスーパーマリオブラザーズ』は、もう一度多くの人に遊んでもらうことができた。もう1本の『マリオギャラクシー』は『スーパーマリオ64』よりも遊びやすく作ったけれど、3Dゲームの域を超えて遊んでもらえなかった。
 そこで『マリオギャラクシー』シリーズを作ったチームと一緒に、『スーパーマリオ 3Dランド』を誰でも遊べる間口の広い3Dゲームとして作りました。これは「ゲームってこうだったね」と思い出せるゲームで、3Dが苦手なひとでも遊んでもらえると思います。3Dゲームの入門編として、横スクロールしながら立体の中を動くことを頭の中に作りやすく、誰でも立体把握しながら指を動かすという遊びができたと思います。


――多くのゲームを作ってきて、常に考えていることはありますか?
宮本:人が興味を持つことやリアルに感じることは、自分が体験したことが元にあると思うんです。インタラクティブというものは、そういう部分に触れることや自分が興味を持っていることへ積極的に何かをやっていくのが面白い。例えば何個か箱があって、ひとつ開けてみると何かものが入っているとします。人間は、それによって他の箱を意識するようになる。だけど、そこが複雑になりすぎると興味が失せてしまう。そのあたりを自然な道具やフィールドで作ってあげたい。『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』がそうなんですが、豪華になって見落としがちな部分をもう一度見直して、面白さを積み上げていこうとしました。技術が豪華になって、見たこともないものを見せて盛り上げるということはできるんですが、遊ぶ人が自分で考えて行動するという原点を守らないとダメなんじゃないかと思うんです。


――独創的な世界を箱庭のように作り、ゲームの中にユーザーを引き込む、そのイマジネーションはどこから生まれるんですか?
宮本:やはり原体験が多いんじゃないかな。ゲームに出てくる表現そのものは、実際にアーティストが描いたものを見ないとわからないです。自分で何か漠然としたところからいきなり完成に持っていけたらすごいですが、僕は原点の構造から近いモノを積み重ねながら完成に近づけていくスタイル。その原点にあるものは子供の頃から変わっていないんだと思います。魚釣りで川に行くと、川に「魚!」って書いてないけど、天気や茂っている場所の影とか、魚が釣れそうな場所がだんだんわかってきますよね。それは子供のころに川で魚がいるところを探してたから。ゲームの感覚も、そういった現実に近いところに刷り寄せて作っていると、「ああ、そうやな」と共感されることも多い。
 『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』は、剣の動きとリモコンの動きが連動していて、いろいろな遊びができようになっています。具体的には話せませんが、仮に目玉の敵がいる。そいつは剣を動かすとその先を見る。そうするとユーザーは剣を回したくなるんですね。それで剣を回していると、敵の目玉が剣を見ているうちに目を回して、たとえばポロンと首が落ちるなんてことがあると嬉しいですよね。例えば少し出っ張ったところがあったら押したくなりますよね。ゲームは架空の世界ですが、割と現実と一緒なところを取り入れているんです。


――任天堂さんは、ゲームの調整にかなり時間をかけると聞いたことがあります。今回の『スーパーマリオ 3Dランド』と『ゼルダの伝説 スカイスォードソード』で苦労した点はありますか? 
宮本:『ゼルダ』は、やりこむと100時間ぐらい遊べる大きなボリュームのゲームなので、ゲームの調整はある程度組みあがってから時間をかけて行いました。『スーパーマリオ 3Dランド』は割と早い時期に全体を作ってモニターして悪くなければ出すという作り方でした。開発終盤に仕上げの時間をかけるのは大事なんですが、骨組みがしっかりしていれば、細かい調整はやればやるほど良くなるんですよ。逆に細かい骨組みを直し続けるゲームがたまにあるんですが、これは仕上げなのか修正なのか分からなくなって、うまくいかない。骨組みについては、自分の中では、はっきりしていて、最後まで直さなくていいものを目指しています。骨組みを直し続けるようなゲームは、ダメなんで開発をたたみます。一番やりたいことがはっきりしていれば、あとは少しでも良くしようという考え方です。


――最後に、ゲーム作りのコツを教えてくれませんか?
宮本:ゲーム作りは、多くのスタッフが参加する仕事ですが合議では作りません。大勢で作ることで豊かなものになるけど、軸はひとりで作ったほうがいい。若い人は、世代による差はあまり感じませんが、合議を重んじたり公平さやみんなの意見を尊重するようなところはありますね。でも、物を作る時はひとつの大きな力で引っ張らないと、合議ではどこに向かうかわからないんです。ゲームを作る上で大切なのは、問題・課題をスタッフと共有すること。ゲーム作りは、プログラマーにプログラムしてもらわないと作れないんですが、僕が本当に困っている部分をプログラマーが正確に理解しているかどうかが大事なんです。でもたとえば問題を共有できない人が間に入って、単なるメッセンジャーみたいになると、だいたい間違いが起こってしまう。問題を伝えるときは、プログラマーにただ「マリオのジャンプを直す」とだけ伝えるより、「困った、モニター見てると反応がよくない。売れないかも」と言えば、このままだと売れないという問題を共有できる。そこで「ジャンプがあやしい。ここを直してみよう」と積み上げていく。これが伝言ゲームになるとダメなんです。こういうことがゲーム作りには、あちこちにある。あと、さっきの骨組みがしっかりしていると、無駄なことだと思っても意外に役に立つこともあるんです。何かの役に立っているとわかったり、やっていることの先が見えれば人は頑張れますよね。付き合って頑張るのじゃなく、あくまで自分から動けるような状況にしていく。大作ゲームになると50人~100人のスタッフがいるので、そこが難しい。そこはゲーム作りも会社も同じですね。ひとりずつが問題を共有しながら形になっていくのが理想だと思います。
 プロデューサーの究極の仕事は"売れる"ということ。この前、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の開発メンバーが15年ぶりにインタビューを受けたんですが、あの現場は悲惨な状況だったはずなのに、みんなが「楽しかった」と言ってるんです。そんなわけはないだろと思うんだけど、最後に楽しかったという気持ちが残ったのは成果があったことが大きいと思います。その場の合議制やチームの和ではなく、プロデューサーとして最終的な責任を持って成果を感じるものを作り上げることが重要だと思いました。



スーパーマリオ 3Dランド『スーパーマリオ 3Dランド』
2Dマリオと3Dマリオのいいとこどりをしたシリーズ最新作。さまざまな仕掛けがある90以上のコースでマリオの多彩なアクションが満喫できる。2Dの遊びやすさと3D空間を探索する楽しさの両方が楽しめ、初心者でも遊びやすいアシスト機能を搭載。

機種:『ニンテンドー3DS』
メーカー:任天堂
発売日:11月3日
価格:4800円


ゼルダの伝説 スカイウォードソード『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』
天空に浮かぶ「スカイロフト」と3つの地上世界を舞台に、リンクが壮大な冒険を繰り広げるアクションアドベンチャー。「Wiiモーションプラス」により、より細かい動きで直感的な操作ができるようなった。シリーズはじまりの物語にも注目!
機種:『Wii』
メーカー:任天堂
発売日:11月23日
価格:6800円

マリオカート7『マリオカート7』
マリオたちが陸、海、空を舞台に激しいレースを繰り広げる! ボタンを使った操作に加え、『ニンテンドー3DS』本体を傾けるハンドル操作も可能。8人対戦や世界中の人とレースができる通信機能も充実。

機種:『ニンテンドー3DS』
メーカー:任天堂
発売日:12月1日
価格:4800円

宮本茂●宮本茂/みやもと・しげる。1952年11月16日生まれ。京都府出身。任天堂 専務取締役情報開発本部長。『ドンキーコング』、『スーパーマリオブラザーズ』、『ゼルダの伝説』、『ピクミン』、『Wiiスポーツ』など、多くのヒットシリーズを生み出してきた日本を代表するゲームクリエイター。年末に新作が発売される『ゼルダの伝説』は、DIME本誌と同い年。


(c)2011 Nintendo


WRITER PROFILE

久村竜二

ゲーム、アニメ、コミック、ITなどをメインに活動しているライター。所有するゲーム機は10台以上で、オンオフともにゲームまみれの日々を送っています。

ページトップへ