2011.07.10
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担当:
山田順
本当は怖いフェイスブックの本質とは?(2)
前回に続いて、いまやソーシャルメディアで世界NO.1となったフェイスブックのお話。今回はまず「それではここでクエッション!」から行ってみたい。
クエッション:フェイスブックとグーグルの違いとはなにか?
2011年3月15日、フェイスブックはグーグルを抜き、「米国でもっともアクセス数が多いウェブサイト」(調査会社ヒットワイズ調べ)になったが、これにグーグルは大焦り。なんとかその地位を取り戻そうと躍起になっている。これはいったい、なぜなのか?
答えは、グーグルのコアとなる技術が検索エンジンであり、これは他力本願のシステムだからだ。グーグルは「世界中にあるすべての情報を検索技術によって整理し、データベース化する」ことを最大の目標として、ウェブの覇権を握ってきた。つまり、ウェブ上にクローズドされた世界があると、この目標は達成されない。検索エンジンが入り込めないうえ、情報が増えない。
これに対して、フェイスブックのようなソーシャルメディアは、勝手に情報が自己増殖していく。ツイッターにいたってはリアルタイムで情報が増えていく。こうしたソーシャルメディアにアクセスできないと、グーグルは困る。また、アクセスできても情報量が際限なく増えるから、グーグルの検索エンジンは追いつけない。「おいおいどこまで広がる情報の海。これじゃあ、情報の海に溺れちゃうぞ」となる。
そこで、グーグルは必死になって、これまでソーシャルメディアを取り込む努力をしてきた。ソーシャルメディアがつくり出す「ソーシャルストリーム」を検索で捕まえようと必死になった。いち早くクラウドを構築し、ユーチューブを取り込み、ツイッターに対価を払って「つぶやき」を直接インデックスできるようにした。フェイスブックの機能をパクり、「グーグル・フレンド・コネクト」(Google Friend Connect)なんていうプラットフォームまでつくった。
このようなバトルは、今後も続いていくだろうが、これが最終的になにをもたらすかと考えると、ユーザーにとってはちょっと怖い話がある。
グーグルもフェイスブックも慈善事業ではない。ビジネスだから儲けなければならない。ではこの二つのビジネスはなんで収益を得ているのだろうか? そう、広告だ。グーグルの収益のなんと9割は検索広告の収益なのである。つまり、もしアドセンス広告が禁止されればグーグルは即倒産である。同じくフェイスブックも広告の収益で成り立っている。
つまり、両者とも収益の柱であるインターネット広告を多く集めたほうが勝つ。そして、株価は上がり、企業価値も増す。
そこでささやかれているのが、「いずれフェイスブックは収益を上げるため、最大の資産であるソーシャルグラフをオープンにして広告主に開放するだろう」ということだ。
フェイスブックは、2007年にはマイクロソフトから2億4000万ドルの出資を受け、今年はゴールドマン・サックス、ロシアの投資会社デジタル・スカイ・テクノロジーズなどから総額15億ドルの資金調達をしている。そうして、早ければ10月か11月に新規株式公開(IPO)を申請し、2012年第1四半期にIPOを実施すると、先頃CNBCが報じている。とすれば、フェイスブックは最大の資産ソーシャルグラフをなんとかして換金しようとしても不思議ではない。なにしろゴールドマン・サックスが主幹事だ。
強欲な米ウォール街は、ITバブルの夢をもう一度とばかり、シリコンバレー企業にマネーをどんどんつぎ込んでいる。先頃、ビジネス向けのSNSリンクトインはニューヨーク証券取引所に上場し、企業価値は約70億ドルと評価された。グル--ポンは6月初め、最大7億5000万ドルを調達するIPO計画を申請した。フェイスブックの2011年の広告収入は約40億ドルと予想されているが、さらに上積みを狙ってくるだろう。
いま世界中の人々が、フェイスブックに勧められるままに、実名で自分の趣味や行動の詳細を書き込んでいる。LIKEボタンも押しまくっている。こうしてできあがった広大なソーシャルグラフの輪は、なんと6億人。「中国、インド、フェイスブック」(人口の多い順)と言われるまでになった。
広告主にとって、こんなおいしいツールはない。フェイスブックがそのうち絶大な力を行使して、住民(ユーザー)をビジネスに利用するかもしれない。そうなったら、フェイスブック共和国のプライバシーはゼロ。誰でもアクセスできるから、グーグルも大歓迎だ。
まあ、そんな日がやってこないことを祈って、オンライン生活に励もう。ちなみに私は、前回も書いたが、フェイスブックはやっていない。

WRITER PROFILE
山田順
『女性自身』編集部『カッパブックス』編集部を経て、光文社ペーパーバックスを創刊、編集長を務める。日本外国特派員協会(FCCJ)会員。2010年、光文社を退社し、フリーランスに。近著に『出版大崩壊 電子書籍の罠』(文春新書)。川崎順平、神山冴などのペンネームで、著書多数。