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節電&省エネらいふ ライフスタイル

2011.08.06

日本最大の木質バイオマス発電所は美しかった!

担当:
土田貴史

 JR川崎駅前から市営バスに乗り、扇町バス停下車徒歩3分。東京湾に接する工業地帯に、2011年2月に操業した「川崎バイオマス発電所」。ここは、国内初の都市型バイオマス発電所として、大きな期待が寄せられている発電施設だ。

川崎バイオマス発電所 見学のアポイントを取り、早速、訪ねてみることに。いきなりギーガッシャン、とか聞こえてきそうなビジュアルだが、意外と静かだ。写真では見えづらいが、鉄骨にはオレンジで塗られた部分があちこちに確認できた。注意を喚起する意味の塗装が、シロウトにはやたらとカッコよく見える。しかも、敷地内は塵ひとつ落ちていないクリーンな世界。煙突から白く見えているのは、ダストではなく湿式脱硫装置で排気ガスを処理した後の水蒸気だという。

 発電所が立つのは工業地帯のど真ん中とはいえ、特に臭いを感じることもなかった。ここで弁当を食べてね、と言われても、まったく嫌な気がしない。むしろ、夕日に染まりゆく外観を、いつまでも愛でていたい。これが、最新の発電所というものなのか!

木質チップ この発電所のエネルギー源は、神奈川県内およびその近郊から発生した不要の木材、剪定材をチップ化したもの。発電所の隣にはジャパンバイオエナジーという名称のリサイクル工場が併設され、年間約6万トンの木質チップがここで生産されている。ほかに、近隣の木質チップ製造会社から年間約12万トンが運び込まれるそうだ。


「この発電所では、石油、石炭などの化石燃料を使用せず、木質バイオマス燃料だけを利用しています。この発電所で電気を作ることで、年間およそ12万トンのCO2を削減できます」(川崎バイオマス発電所・村上所長)

 木質バイオマス発電所の多くが、林業が盛んな山間部にあるのは、燃料となる木材が豊富にあるため。しかし、せっかく発電しても、山間部では電力需要が限られる。そのジレンマを、発想の転換から都市部の廃材に目を付けたところがスゴい。これまで焼却処分されるしかなかった建築廃材を燃料として活用するのは、まさにリサイクル界の地産地消モデルだ。
 
 むろん、都市型発電所としての環境対策もバッチリ。川崎市の厳しい環境基準をクリアするため、排煙脱硫装置、排煙脱硝装置、バグフィルターといった、地方のバイオマス発電所にはない設備をプラスしている。

排煙脱硫装置......燃焼時に発生する硫黄酸化物を無害化し、排出量を3ppm以下まで削減する設備

排煙脱硝装置......燃焼時に発生する窒素酸化物を無害化し、排出量を30ppm以下まで削減する設備

バグフィルター......排気ガス中のダストを除去し、排出量を7.4mg/N㎥以下まで削減する設備


蒸気タービン 発電は、蒸気タービンの回転によるもの。木質チップの燃焼によって温められた循環水が水蒸気となり、蒸気タービンを回転させる仕組みだ。燃焼炉からの排煙は、先の3つの装置を通ることでクリーンな排気ガスとなり、大気中に放出される。

 ボイラー脇のエレベーターで屋上まで案内してもらった。事前に説明を受けた発電の仕組みと照らし合わせながら見学すると、ヒジョーに興奮してくる。アタマの中でイマジネーションした設備が3次元の中で合理的にレイアウトされている姿は、実に美しい。
合理的にレイアウトされている姿
 しかし、ふと疑問に思ったのは、敷地内に人の気配がなかったこと。それもそのはず、この発電所のスタッフは、わずか15名!

「実際の操縦は8時間ごとに2名ずつ、1日3交代で6名が担当し、ほか7名は中央制御室で事務作業、残る2名を休日扱いとしてローテーションを組んでいます」(村上所長)

 一般家庭約3万8000世帯の電力使用量に相当する3万3000kWという発電出力を、こんな少人数で支えているなんて、驚きだ。

 あれ? 再生可能エネルギーの経営って、そんなに厳しいの? という見方もできそうだが、いやいや、彼らは、もともと四国地方で火力発電所運営の実績を持つプロ集団。1995年の電気事業法改正を受け、満を持しての都市部への進出だ。少数先鋭主義による運営コスト削減は、彼らのノウハウ。トイレ掃除だって、自分たちでこなすほどの徹底ぶりだ。

 低炭素社会に向けた、都市型発電所の先駆けとなった「川崎バイオマス発電所」。いつかアニメで見た近未来が、少しずつ現実のものになってるんだなぁ。つきなみだけど、これが見学後の正直な感想だ。震災によって、逆説的に電気のありがたみを実感するようになった自分にとって、このような取り組みが、すでに東京湾のすぐ脇で行なわれていることに、時代が動いていることを強く思ったしだいです。

川崎バイオマス発電所
神奈川県川崎市川崎区扇町12-6

WRITER PROFILE

土田貴史

モノ情報誌、ライフスタイル誌編集を経て、ライターに。得意ジャンルは、腕時計と服飾小物だが、メタボ体型が極度に進行してしまった結果、ファッション企画の提案にちっとも説得力がないことに気づいてしまった41歳。ダイエットして復職を目指すか、いっそのこと愉快なDEBUライフを満喫するか、岐路に立たされ中。

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