2011.12.12
![]()
担当:
ゴン川野
今回の散歩は信濃町駅で下車して「神宮外苑いちょう祭り」を見に行ったり、神楽坂や神田、阿佐ヶ谷周辺を歩いた。デジイチで散歩となるとカメラバッグに交換レンズを入れて首からカメラをさげる。これでは散歩でなく撮影が目的で被写体を探している人にしか見えない。『PENTAX Q』であれば、4本の交換レンズをポケットに突っ込んで、カメラを首から下げていても、普通の散歩に見える。カメラ機材が軽くてかさばらないのがいい。どのレンズを持っていくのか悩む必要もなく交換レンズは全部持って行けばいいのだ。

Qには11種類のカスタムイメージと19種類のデジタルフィルターが内蔵されている。クイックダイヤルを使ってカチカチと効果を切り替えることもできる。あまりにも沢山あるので、どれを使っていいのが迷ってしまうが、私が気に入っているのはカスタムイメージの「銀残し」だ。どんな被写体もいぶし銀のような渋い写真に仕上げてくれるエフェクトで他のメーカーには存在しないユニークな写真になる。晴天の絵画館も昔の絵ハガキのように重厚さを増した建物になった。


それでは早速、交換レンズを使ってみよう。まず、35mm判フィルム換算で焦点距離35mm相当になる単焦点レンズ『04 TOY LENS WIDE』を使ってみた。マニュアルフォーカスで絞りはF7.1に固定されているため、絞り優先AEモードで使う。意図的にレンズの収差を残してトイカメラのような効果が得られるレンズというが、晴天の順光で撮影すると、わずかにフワッとした感じはあるが、通常の広角レンズと同じような感じに撮れる。カメラのレンズキットには『01 STANDARD PRIME』という単焦点レンズが組み合わされているが、こちらは焦点距離47mm(35mm判換算)相当で最短撮影距離は20cm。それに比べて04レンズは7cmまで接写ができる。簡易的にマクロレンズ替わりに使うのもいいかもしれない。


『05 TOY LENS TELEPHOTO』は焦点距離100mm(35mm判換算)相当で、Qの交換レンズの中で最軽量、18gしかない。さらに最短撮影距離は27cmとデジイチのレンズと比較するかなり近距離まで撮影ができる。こちらも晴天の順光なら普通の中望遠レンズとして使える。

完全な逆光で撮影すると、このようにソフトフォーカスレンズのようにフワッとした感じになる。これはポートレート用レンズとして活躍してくれそうだ。04も05もマニュアルフォーカスレンズなのでカメラ側の設定でマニュアルフォーカス時は液晶モニターで拡大表示させて、きっちりピントを合わせる必要がある。これが適当だとPC画面で画像を拡大してみると全部ピンぼけになっている可能性が高い。

最短撮影距離付近での撮影、PENTAXの文字にきっちりピントが合っている。本物のトイカメラのゾーンフォーカスではここまで接近して、ピントの合った写真は撮れないので、トイカメラを超えた優秀なトイレンズと言える。

そして私の好きなレンズが『03 FISH-EYE』である。対角線上に160°の画角が得られる対角魚眼レンズである。17.5mm(35mm判換算)相当でF5.6、直販価格9800円とおそらく世界最安の魚眼レンズではないだろうか。きちんとピントを合わせればその描写はシャープで魚眼らしいダイナミックな写真が撮れる。デジタルエフェクトで得られる真ん中だけが湾曲した魚眼効果とは違い、画角自体が広いので広大な風景や建築物を1つの画面に収めたい時に重宝する。

20cmまで寄れるので、ズームレンズでは収まり切らない被写体をマクロレンズ的に記録することもできる。コンデジで魚眼レンズとなるとコンバージョンレンズを使う方法しかなく、03レンズよりも確実に大きくて重くなってしまう。こんなにコンパクトな魚眼レンズは見たことがない。今度はこのレンズだけ付けて散歩してみたいものだ。

次はキットレンズの『01 STANDARD PRIME』で撮った写真を見てみよう。こちらは非球面レンズを2枚使ったレンズで高解像度、低収差、開放絞りF1.9がウリの標準レンズである。その描写は硬すぎず、もちろん周辺光量が落ちたりすることもない。47mm(35mm判換算)相当の画角なので歪みもなく素直な感じに撮れる。

『02 STANDARD ZOOM』は27.5mm〜83mm(35mm判換算)相当の標準ズームでダブルレンズキットにも含まれている。ズーム全域で色収差を抑えるために、特殊低分散光非球面レンズなどを使った贅沢なレンズである。ズーム全域で30cmまで接近できる。

逆光にも強く、このように太陽を写し込んでも、きちんとした写真が撮れるのだ。お散歩で最も使用頻度が高い常用ズームレンズであった。

次は暗い室内で高感度撮影をしてみよう。モデルを頼んだ大橋綾子さんのお気に入りの隠れ家的和カフェは昼間でも相当暗い。『01 STANDARD PRIME』にカスタムイメージの「トイカメラ」で撮影した。感度はISO1000で絞りはF1.9、シャッター速度1/25秒だ。レトロな店内が昭和にタイムスリップしたかのような写真になった。

レンズを交換して『04 TOY LENS WIDE』を使う。同じく感度はISO1000で、F7.1なのでシャッター速度は1/2秒になった。動体ブレしないようにモデルもじっと息を潜める。その描写は柔らかく、これが直販価格5980円のレンズとは思えないほど優秀である。

同じレンズで最高感度ISO6400まで上げてみた。さすがに粒状感が目立って輪郭は点描画のようになるが、ノイズはうまく処理され、1枚の絵画のような写真になった。これなら全く使えないということはなく、ISO6400がある方が断然、面白いと思った。

ちょっと試しにデジタルフィルターの「スリム」を使ってみると、これは別人かと思えるほどの顔やせ効果を発揮。デジタルフィルターの奥深さに触れた気がした。

最後に『01 STANDARD PRIME』の絞り開放で撮った夜景をお見せしよう。ISO640でシャッター速度は1/60秒だった。少し光があれば夜でも、そんなに高感度を使わずF1.9の威力でキレイな夜景が撮れてるため、夜の散歩にもQは欠かせないパートナーになってくれるに違いない。

こうして5種類の交換レンズを使ってみるとコンデジでは体験できない写真の面白さが体験できた。しかも交換レンズ自体が小型軽量、さらにトイレンズなら実勢価格約1万円以下で買えるため、デジイチやフォーサーズ規格のミラーレスよりも気軽に、その面白さを手に入れられる。私が今後、欲しいのは24mmF1.8のような明るい単焦点広角レンズだ。さらに15〜35mmぐらいの超広角系ズーム。あと80mmF2のマクロレンズとか。360°撮影出来る円周魚眼レンズも欲しい。そんな夢が広がる『PENTAX Q』は、コンデジとも従来のミラーレスともAPS-Cサイズのデジイチとも違う全く新しいカテゴリーのデジカメであり、これに対抗するモデルは今のところ現れていない。ぜひもっと面白いアクセサリーや交換レンズを開発して、Qワールドをさらに拡張してもらいたいのだ!

WRITER PROFILE
ゴン川野
カメラ生活42年、小学生でオリンパスPEN-Fを愛用、中学生で押し入れ暗室にこもり、高校では写真部部長。大学卒業後、単身カナダに渡りアウトドアスクール卒業後「BE-PAL」を経て本誌ライターに。保有交換レンズ41本、カメラ28台(見える範囲で)。