2010.11.05
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担当:
橋本保
ソフトバンクの2010年冬~2011年春モデルが発表された。Android2.2搭載のスマートフォンが中心になることは予想していたが、まさかシャープ製(『GALAPAGOS』の2モデル)までもが対応していたことには、正直に言って驚いた。
本論に入る前に、Android搭載機の背景について、触れておきたい。Androidとは、Googleが主導するOHA(Open Handset Alliance)がリリースするケータイ向けのOSのこと。余談だが、開発コードには、スィーツの名前をつけるのが通例で、1.5は、Capcake(カップケーキ)、1.6はDonut(ドーナッツ)、2.0/2.1はEclar(エクレア)、そして最新の2.2はFroyo(フローズンヨーグルトの略)となっている。ちなみに、次期Androidである3.0は、Gingerbread(生姜クッキー)。来年1月にラスベガスで行なわれるCES(国際家電ショー)では、各社からGingerbread搭載のAndroid機が発表されると言われている。
機種を開発するメーカーにとって、Android OSの情報を入手するのは死活問題だが、これが一筋縄では行かない。あれこれい言い出すとキリがないのだが、一言でいうとGoogleと信頼関係が築けていないメーカーは、Androidの最新情報を入手できないのだ。
現在、Androidは、リファレンスモデルと呼ばれる機種を選定し、そのモデルで動作確認などを行なう。具体的に言うと、『Nexus One』がリファレンスモデルにあたり、これを製造するHTCは他社に先駆けてAndroidの投入が可能になる。リファレンスモデルが選定されるプロセスを正確に把握しているわけではないので、詳述はできないが、現在リファレンスモデルまたはそれに準じるモノを作れるメーカーは、HTC、Samsung、Huawei、LGと言われている。残念ながら、日本のメーカーの中で、Googleと関係を築けているのはシャープのみのようで、そのシャープもEclarに対応するのが精一杯と聞いていたので、冒頭でも触れたように、驚いたのだ。
事実、シャープがKDDI向けに発売している機種はEclarだし、ドコモから発表される機種も同様だというのが事情通の間では常識だ。孫正義ソフトバンクグループ代表は、「スマートフォン市場の約8割はiPhone/iPad。今後も、これらApple製品を積極的に売っていく。ただし、Androidを求めるお客様がいるのは事実なので、他社に負けないような品揃えをした」と、今後もApple製品を中心に売っていくことを公言した。その残りの2割の市場を取るために、約5600万契約のドコモ、約3200万契約のKDDIよりも、約2300万契約のソフトバンクへ最高スペックモデルをシャープは投入したのだ。
いまAndroidは、Windowsの普及期のような状態にあると筆者は感じている。Windows 95、同98、同98SE、同Meと、90年代のWindows PCは、OSがバージョンアップするごとに大幅なイノベーションが起こり、その都度、買い替え需要を喚起した。Androidも、Eclar(2.1)からFroyo(2.2)へバージョンアップするだけで、大幅に機能が強化されている。
ソフトバンクの2010年冬~2011年春モデル発表会も、このあたりがハイライトだった。その主な内容を、挙げてみよう。
1)Flash10.1対応
Eclarは、Flash Lite4.0対応だが、FroyoはPCと同等のFlash10.1に対応する。デモでは、FroyoがUstreamやニコニコ動画の映像も見られることが紹介された。

2)アプリケーションの高速化
Froyoは、動作速度が確実に早くなっている。デモでは「Google Earth」のアプリを使ってFroyoとEclarの速度比較が行なわれた。前者が描画までに11.2秒なのに対し、後者は14.6秒。数字だけでは、その差は分かりにくいかもしれないが、映像を見ていただくとはっきりする。ちなみに、Froyoでは、「Google Chrome」(Googleのオリジナルブラウザー)でも採用Javaエンジン「V8」が採用されている。これも動作速度向上に寄与している。

3)インクリメンタルサーチ(逐次検索)対応
細かい部分だが、電話帳の使い勝手も向上している。従来のケータイは、文字を入力するごとに検索対象を表示してくれた。たとえば、「あ」と入力すると「愛生さん」「相川さん」、「い」と入力すると「飯田さん」「石川さん」という具合に、一文字入力すると、逐次検索してくれた。この機能が、Froyoから標準で備わった。これにより、電話帳が大幅に使いやすくなった。

4)アプリの一括自動更新やPC連携など
Froyoでは、アプリをマイクロSDカードに保存したり、アプリの一括自動更新に対応した。このほか便利なのが、PC連携機能。「Google Chrome」のエクステンション(アプリを利用した拡張機能)を利用すると、ワンクリックでPCで表示したウェブページをAndroid搭載機に転送ができる。孫氏のデモだけはわかりにくいかもしれないので、補足するビデオを用意した。また設定方法については、Google Japanのブログで紹介されているので、以下のウェブページを参考にしていただきたい。
「Chrome から Android 搭載携帯にリンクを一発で転送できるようになりました」



Chrome エクステンション「Chrome to Phone」
5)その他
このほか、メール、予定表、連絡先が、Microsoft Exchangeで同期することが可能になった。主に企業システムで使われることの多い機能だが、hotmail(Windows Live hotmail)をお使いの方は、同アカウントの予定表や連絡先が同期できる。またアプリや設定情報をクラウド側に保存する機能なども備わり、利便性が向上している。

Android 2.1とAndroid 2.2の違いを説明する孫社長
Android搭載機の紹介
このようにFroyoは、使い勝手が大幅にするのが特徴だが、なんといってもあのGoogleがiPhoneをキャッチアップするために全力で取り組んでいるのがAndroidの最新版であるFroyo。それでも、孫氏が指摘するとおり、iPhone/iPadは完成度が高い。いわんやEclarは、iPhone/iPadとの差はさらに開く。このあたりは、Android搭載機選びでは、最注目ポイントだと筆者は考える。
もうひとつ重要な点がある。それは現行の販売制度では、2年間使い続けることを前提に機種選びをするだろう。その間、Androidは何度もOSのバージョンアップを繰り返す。このとき、おサイフケータイやワンセグといった日本向けカスタマイズした機種は、そうでない機種つまりグローバル仕様のモデルに比べるとアップデートは遅れる、というのが一般的な見方だ。もしかすると「開発に負担がかかるため、バージョンアップは有償になります」とか「アップデートはできません」といったことも起こりうる。こうしたことを考えずにおサイフケータイやワンセグが備わっているからという理由で機種を選んで大丈夫だろうか? ガラパゴス化していると言われている日本市場でも、iPhoneが大ヒットしている事実は、おサイフケータイやワンセグを求めるユーザーばかりがマジョリティでないこと示唆しているようにも思える。
以下は、新製品発表会後に孫氏を囲んだ取材の様子。ここでも孫氏は、Androidの最新バージョンに対応していくことが要諦だと名言している。その下の映像は、KDDIが『IS03』を発表したときの田中孝司次期社長の囲みの様子。両者の映像を見て、皆さんは、どんな風に感じるだろう? このあたりは、機種選びの参考になるに違いない。

WRITER PROFILE
橋本保
ポケベル全盛期のころから『DIME』に関わり、もう10ウン年。父親譲りのホクロ顔で知られる。
気が向いたときにブログ(http://keitai-robanomimi.blogspot.com/)を更新中。